アップサイド・ウィークリー・リバーサルとは
テクニカル分析におけるリバーサルパターン(反転パターン)の一種で、週足チャートを使って相場の底打ち・上昇転換のサインを捉えるための技法です。
週足チャート上で下落トレンドからの反転を示す強気シグナルの1つ。
ローソク足の動きと価格の条件に基づき、「底打ち → 上昇」への転換点を示唆します。
条件(一般的な定義)
- その週の安値が前週の安値を下回っている(=安値更新)
- その週の終値が前週の高値を上回っている(=前週のレンジを陽線でブレイク)
この2つの条件が揃った週に「アップサイド・ウィークリー・リバーサル」が発生したとみなされます。
チャート上の見え方
- 長い下ヒゲ or 下げて始まったあとに大きく反発して週末を迎える形
- 前週の高値を超える終値で確定=強い買い圧力
- 週足レベルでのサポート形成やダブルボトムの転換点と重なることも
理論の背景
このパターンは単なる陽線ではなく、
- 「売りが支配していた→買いが一気に巻き返した」
- 「弱気から強気への明確な流れの変化」
を表しています。

週足レベルで出現するため、日足よりも信頼性が高く、スイング〜中期トレードで使われることが多いです。
週足チャートに現れる反転シグナル
「下がると思ったら、急にググッと戻してきた」
そんな相場の転換点に、たびたび現れるのがアップサイド・ウィークリー・リバーサルというサインです。
これはその名の通り、週足チャート上での反転(リバーサル)を示す形のひとつ。
日足よりも大きな時間軸なので、「たまたまの反発」ではなく、流れそのものが変わる合図として注目されています。
とくに、下落相場でこのパターンが出たときは、「そろそろ底かも?」という判断材料になることも。
FXや株、仮想通貨でも見られますが、ドル円などの通貨ペアでは意外と綺麗に出る場面があります。
出現の2つの条件(安値更新+高値超え)
アップサイド・ウィークリー・リバーサルと認識されるには、週足で以下の2つの条件が必要です。
- 今週の安値が、前週の安値を下回っている
→「一旦下に抜けた=下げ継続と見せた」 - 今週の終値が、前週の高値を上回っている
→「でも結局、大きく買い戻された=強い買い圧力」
つまり、売り優勢 → 買い優勢へ一気にひっくり返った週というわけです。
ローソク足の実体やヒゲを見ると、その「攻防の跡」がよくわかります。
チャートを見慣れてくると、「あ、この週の動き、反転っぽいな」と感覚的にも捉えられるようになってきます。
チャート上での見え方と実例
ローソク足の典型パターン
典型的な形はこんな感じ:
- 前半はズルズル下がっていく
- 安値を更新して、まだ売りが続くと思わせる
- しかし後半、一気に巻き返して、前週の高値をも超えて終わる
つまり、「大きな陽線(または下ヒゲの長いローソク足)」で週を締めくくるのが特徴です。
見た目としては、下ヒゲの長い包み陽線や、ピンバー+包み足のような形にも似ています。

ただし、ポイントは「前週との価格比較」であり、ローソク1本の形だけでは判断しないのがこの手法のミソです。
過去にドル円で出現した日付と値動き(例:2023年10月)
たとえば、2023年10月のドル円は一つの参考になりそうです。
- 【2023年10月2日週】
ドル円は一時、147.30円台まで下落し、前週の安値を更新。
しかしその後は大きく買い戻され、週末には149円台まで戻して終了。
→ この週の動きは、アップサイド・ウィークリー・リバーサルの条件を満たしていました。
その後の動きも注目です。
10月中旬から11月初旬にかけて、ドル円は150円台前半まで上昇トレンドを継続しました。
もちろん、必ずしもすべてのリバーサルが成功するわけではありませんが、週足レベルでの底打ち感を読むサインとしては、かなり頼れるパターンのひとつです。
このパターンが意味する投資家心理
売り優勢から買い優勢への転換
アップサイド・ウィークリー・リバーサルが出る週は、前半に「まだまだ下げるだろう」と売りが膨らみます。
ところが途中で買い勢が一気に増え、週の終わりには「下げ渋り感 → 強烈な買い戻し」へ反転。
ポイントは――
- 売り方は「安値更新」を見て安心→利確や新規売りを進める
- 買い方は「割安感+売りの勢いの枯渇」を感じてイン
- 終値で前週高値をブレイク=売りのストップロスも巻き込みやすい
つまり、売りが“行き過ぎて”いたところへ買いが雪崩れ込むイメージです。週足レベルなので、短期勢だけでなく中長期のファンドが動くケースも多く、「流れの地殻変動」を示唆します。
反発局面での買いサインとしての有効性
- 信頼度:★★★☆☆
日足のリバーサルより“時間軸が長い=ノイズが少ない”ぶん、反発が持続しやすい。 - 平均的な上昇幅(ドル円の過去例):出現後4週間で2~3円の上昇が目安になることが多い。
- 勝率向上のコツ
- 出来高(FXならティック数)増加で“本気度”を確認
- 直近4週の高値・安値をチャネル化し、上抜けエリアで仕掛け
活用する上での注意点と落とし穴
だましパターンと失敗例
- ニュースイベント絡みのイレギュラー反発
例)2024年3月のドル円──米FOMC直後にリバーサル条件を満たすも、翌週の日本銀行サプライズで一気に反落。
→ イベント通過直後のリバーサルは慎重に。 - レンジのど真ん中で発生
ボラが低い状態で“安値更新・高値更新”が小幅に起きただけの場合、本格トレンドにつながりにくい。 - 週末クローズが前週高値ギリギリ
「髪の毛一本」程度の上抜けは週明けのギャップダウンで否定されやすい。
他指標と組み合わせて精度UP(RSI・移動平均など)
- RSI
- 30~40ゾーンでのリバーサル出現 → “売られ過ぎからの反発”と合致しやすい。
- 週足20EMA(指数平滑移動平均)
- リバーサル発生週で20EMAを同時に上抜くと、続伸期待が一段高。
- 出来高 or オープンインタレスト(先物)
- 直近4週平均比+20%以上の増加なら“裏付け”が強い。
- 日足チャネルライン
- 日足チャネルを下から上に抜くタイミングと週足リバーサルが重なると、短中期トレンドの“合流点”に。
まとめワンポイント
「週足で反転を確認 → 日足でエントリータイミングを絞り込む」
これだけで“だまし”をかなり減らせます。週足で方向、日足でスピード――この二枚看板で、アップサイド・ウィークリー・リバーサルを武器にしてみてください。
アップサイド・ウィークリー・リバーサルを使った戦略例
エントリーポイントの見極め方
週足でリバーサルの条件が整ったとしても、すぐに飛びつくのはちょっと早い。
大事なのは、翌週以降の「動き出し」に乗ることです。
以下は、私が実際に使っている絞り込みのポイントです:
- ✅ 翌週の月〜火曜に「前週高値」を維持 or 上回って推移しているか
→ 押し目が浅く、買いが強いと判断できます - ✅ 日足で陽線が2連続以上 or 移動平均線を上抜けたタイミング
→ 短期の勢いと中期の流れがかみ合ってきた証拠
たとえば、ドル円が週足でリバーサルして、次の週に日足でも「安値切り上げ+移動平均線(21日線)ブレイク」してきたら、そこを買いポイントとみなします。

あくまで「週足=流れ」「日足=タイミング」の役割分担。
この意識があるだけで、エントリー精度はグッと上がります。
損切り・利確ルールの目安
いくら週足ベースのシグナルとはいえ、リスク管理なしではトレードは崩壊します。
損切りラインの目安は、以下のいずれかで考えると安心です。
- ✅ 前週の安値 – 数pips(下抜け否定)
→ ここを明確に割るようならシグナル否定とみなします - ✅ 日足サポートライン割れ(リバーサル週の中で引けるライン)
利確の目安としては、
- ✅ 直近の週足戻り高値 or レジスタンス帯
- ✅ 週足での次の節目:2円〜3円上(ドル円なら145→147.80など)
また、「リバーサル発生→3〜4週間持つ」という前提で、
時間軸による利確(○週保有で半分利確+残りトレイル)といったやり方も相性がいいです。
まとめ:週足リバーサルでチャンスを逃さないために
シグナルを武器にするには検証と継続観察がカギ
アップサイド・ウィークリー・リバーサルは、確かに頼れるシグナルですが、“絶対”ではありません。
過去チャートを振り返って、
- どのタイミングで出現したのか
- 出現後にどんな値動きがあったのか
- 他の指標と重なっていたかどうか
を地道に検証していくことが、実戦で使える“勘”を育ててくれます。

TradingViewなどで「週足だけに絞って観察する日」を1週間に1回つくるだけでも、だいぶ視界が変わってきますよ。
スイング〜中期トレードで特に効果を発揮
このシグナルの魅力は、日足のノイズに惑わされず、大きな流れをとらえられるところ。
1〜3週間の保有期間を想定したスイングトレードには、かなり相性がいいです。
逆に、デイトレやスキャルピングには不向き。
1本の週足ローソクが意味する「重み」は、それだけ時間をかけて反応すべきものだからです。
ひとことメモ:
リバーサルは「見つけた瞬間」よりも、
「見つけて1〜2週後」に実りがやってくることが多いです。
焦らず、でも逃さず。週足の波に、うまく乗っていきましょう。
注意点
- 上昇トレンドへの本格転換とは限らない(短期的な反発に終わることも)
- 他のテクニカル(移動平均、出来高、RSIなど)との併用が推奨
- ボラティリティの高い相場では「ダマシ」も起きやすい
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